シーズン3 第19回 縁戚関係の深い大名「伊達宗城(だて・むねなり)」
2017年11月15日放送
富田さん:こんばんは~、マスター。
マスター:やぁ、富田さん。いらっしゃい。
富田さん:おや!?カタログショッピングですか?
マスター:えぇ。お正月用のおせちの注文をしておこうかと思いましてね。何せ、親類縁者がずら~っと集まるもので。
富田さん:そうなんですね。じゃあきょうは、直正公と深い縁戚関係にあった大名「伊達宗城」を紹介しましょう。
マスター:お願いいたします。
富田さん:
直正公の数多い兄弟姉妹のうち、お姉さんの猶姫(なおひめ)さまの結婚相手が今回お話しする、愛媛県・宇和島8代藩主の伊達宗城公です。直正公より4歳年下ですが、義理のお兄さんという間柄。しかも宇和島藩の5代と7代藩主の正室も鍋島家から嫁いでいますから、伊達家は特にご縁の深い大名家でした。
マスター:へぇ~。
富田さん:
宗城公は軍事に詳しい長州藩士の大村益次郎(おおむらますじろう)を招いたりして、日本の近代化とか、西洋式軍隊の導入などを推進しました。また、愛媛も海に面していることから、海の防衛についても早くから関心を抱いていました。マスター、反射炉に代表される佐賀藩の大砲づくりのことは、ご存じですよね?
マスター:ん…も、もちろん!
富田さん:
外国船が頻繁に来航する時代にふさわしい備えとして、長崎に新しい砲台を築く必要性を、直正公は幕府に訴え出ます。しかし、幕府からは「必要ない」とのお返事。直正公は何度も反論の文書を提出して食い下がります。
マスター:直正公らしい行動ですね。
富田さん:はい、そしてこの時、直正公が自らの熱意を伝えるため、手紙を送った相手が宗城公でした。
マスター:なるほど。
富田さん:
その内容は、「台場は必要ないという幕府からの返事に対し、私は誠に嘆き悲しみ憤っています。納得できません。今回の私の主張は、そもそも決して私事ではなく、我が国の将来のためを思ってのことですから、幕府から拒まれても、私が呼吸している間は、何度でも主張を貫いて、お願いし続ける覚悟です」と。
マスター:う~ん。
富田さん:
義兄弟として、また海防の必要性を理解してくれる同士として、直正公が厚い信頼を寄せていた様子がうかがわれますよね。
マスター:そんな直正公の熱意に対して、宗城公はどう応えたんですか?
富田さん:
はい。宗城公は、幕府の幹部である老中・阿部正弘の自宅に出向いて、こう伝えます。「このたびの台場築造の件で、鍋島殿の主張が却下されたと聞きました。彼は国や公のためを思い、幕府からの風当たりが強くなることも顧みず、忠義を尽くすため、自分の考えを素直に申し上げているのですから、私も彼に同意します。どうかお考えを改めて頂けませんでしょうか」と。
マスター:それを知った直正公は嬉しかったでしょうね。
富田さん:
えぇ。宗城公のこの行動を知った直正公は、すぐにお礼状を出しています。「早速ご理解頂き、阿部老中に対して援護射撃して下さり、誠にそのご厚意には御礼の申し上げようもありません」と。
マスター:本当に、お互いをリスペクトしていたんですね~。
富田さん:
えぇ。伊達家には、直正公が長崎でオランダ軍艦に乗船したときの様子を、あのマルチ芸術家の側近・古川松根が描いた記録画の写本が残されていたり、鍋島焼があったり、鍋島緞通の上に座る伊達家ご一家の集合写真も残されていまして、鍋島家との深い関係を今に伝えています。あ、もうこんな時間だ。マスター、ご馳走様でした!
マスター:
ありがとうございました。さてと、おせちの注文の途中でしたね。カズノコ、キントン、黒豆に・・・あれ?あの卵焼きに似たぐるぐる巻いたもの、何て名前でしたっけ?”だって”、年に一度のことですから、忘れちゃいますよね~。